小学生に何を求めるか? 育みたい『思いやりの心』
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先日、小学校2年生の息子が「今日な、クラスの子がおもらししてん」と教えてくれました。詳しく聞くと、音楽の授業中にある女の子がおもらししてしまい、服も上靴も床も大量に濡れてしまったとのことでした。
その女の子はおもらししてしまったことをなかなか先生に言い出せず、隣にいた子が気づき先生に伝えたそうです。息子の話では、女の子はとても恥ずかしそうに終始うつむいていたそうです。
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その時クラスメイトはどうしたか
先生が女の子を保健室に連れていって着替えさせたり、床を雑巾で拭いたりしていると、クラスメイトのA君が自ら床を拭く手伝いを始めました。自分の手がおしっこで濡れるのも気にせず、黙々と手伝っていたそうです。それを見ていた周りの男子達が、「うっわ!手おしっこついてるやん!きったなぁ~」とはやしたてても手をとめないA君。大半の子(息子含む)が傍観し、一部の子が野次をいれる様子は、まるで大人社会の構図のよう。結局、床を拭く手伝いをしたのは、A君一人だけだったそうです。
問題児扱いされてきた男の子
A君と息子は保育園も同じだったのでよく知っているのですが、小さい頃から力が強く、ヤンチャで、すぐ手が出てしまうタイプの少年でした。自分の言うことを聞かないと、すぐ友達にパンチを繰り出す有り様。A君の親が保育園から呼び出され注意を受ける場面は何度となく見てきました。
小学校にあがってからも「手の早さ」は続き、1年生の時にはクラス懇談会で大勢の保護者がA君の乱暴さについて追及し、A君の母親が保護者の前で謝罪するという事態にまでなりました。また、学童でも同様の理由で他の子ども達とトラブルが続き、結局2年生になると同時に学童も辞めてしまいました。
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同じ保育園出身の子は優しさを知っていた
A君は、意に反することが起きるとすぐに手が出てしまいます。それは絶対にダメなことです。ただ、そんな手が早いA君ですが、息子を含めて同じ保育園の子ども達はA君と今でも変わらずとても仲良しです。息子も過去にパンチされたことはあるし、他の子ども達も殴られた経験があります。にも関わらず、友達関係は途切れることなく現在に至ります。
息子が小学1年生の頃、ふと気になり「殴られるのに遊ぶの嫌じゃないん?」と聞いたことがあります。その時の息子の返答は「Aはパンチするけど、優しいねん。困ってる人がいたらすぐ助けにいくし。叩くのも前に比べたらめっちゃましやで」というものでした。
確かに、A君は保育園時代から自分より小さい子にはすこぶる優しい子でした。女の子も絶対に殴らない。そして、年齢や男女に関係なく、誰かがこけたり、泣いたりしていると一目散に駆けつけて「大丈夫?」と声をかける、行動力にあふれた子でした。
今回の一件を息子から聞いた時、「A君、優しいなぁ!かっこいいなぁ!」と言ったんです。そしたら息子は、「Aが優しいのは知ってる。前からそうやん」と。
表面的な部分にとらわれず、相手の本質を理解する力は、大人より子どもの方が勝っているのかもしれないですね。
思いやりの心を育てたい
A君の「手の早さ」への対応は、親も、先生も本当に大変だと思います。「もし我が子が同様の立場だったら・・・」「もし自分のクラスにA君がいたら・・・」と想像すると、ほとほと頭を悩ますことは想像に難くありません。
でも、今回の件を通してはっきり確信したことがあります。それは、「手が早い」という一面に隠れ、一見しただけでは見えにくいけれど、A君の中にはしっかりと「他者を思いやる心」が根付いているということです。
息子を含め、大半の子が傍観者で、一部の子はA君の行いをからかったという事実。まだまだ小学2年生、幼いから仕方ない部分もあるのかもしれません。でも、だからこそ、すぐに一人駆け寄ったA君の行いが、人としてとてつもなく素晴らしく感じるのです。
「友達に危害を加えないけれど、助けもしない」
「友達に危害を加えないけれど、相手の気持ちも思いやれない」
そんな子ども達の方が、本当に小学生としてあるべき理想の姿だと思えますか?
極端すぎる例かもしれないけれど、私は少なくとも我が子には、「傍観して手を貸さない大人」「人の心を平気で傷つける大人」にはなってほしくありません。
泳げることも、ピアノが弾けることも、計算が速いことも、字がうまいことも、どれも大切なことに違いはないけれど、ただ、めまぐるしく心が育つ小学生という時期だからこそ、「人を思いやる心」をしっかり育んでいけたらと強く思います。
おもらしをしてしまった女の子は、翌日学校を休みました。
明日は来れるだろうか。
女の子が来たとき、クラスの子はどんな言動をとるのだろうか。
先生は何を子ども達に伝えるのだろうか。
女の子の心の傷が少しでも早くふさがることを、今は心から願うばかりです。
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